酒場に一人の風変わりな男が現れた。 |
その東洋人は名を「ゴウジロウ」といい、 |
「サムライ」という種類の戦士なのだそうだ。 |
彼は兄を捜してここまでやってきたという。 |
ならば兄も「サムライ」とやらなのであろうか? |
さて?そんな噂は知らないが・・・ |
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なにより風変わりなのは
その「サムライ」が使うという武器だ。
その剣はサーベルかと思う程の細身だった。
何がキッカケだったか覚えていないが、 ヤツは俺様の店で喧嘩を
始めちまいやがった。 俺はそいつの壮絶な戦いを見る事になった。 |
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ゴウジロウは剣を抜き、
無造作に傍らの大男めがけて振り下ろした。
大男は持っていたバールのようなもので弾いた。筈だった。
誰もがその細身の剣がポキリと折れる様を想像した・・・。
しかしその刹那 「ワシャン!」という音が響いたかと思うと
そいつの体は頭から股にかけてまっぷたつに割られていた。
剣では無理な芸当だ。 斧でも持っていたのかと思われた。
が、やはりその「どう!」と倒れた死体の傍らに立つ ゴウジロウの手に
握られているのは,血のついた細身でわずかに湾曲した剣であった。 |
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それから数発の銃声が鳴り響いた後の事は良く覚えていない。
ただ、気が付いた時には俺の店に銃を持った かつて人間と呼ばれた
肉塊があちこち転がって床を汚していた。 |
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ゴウジロウの姿はもうどこにも無かった。兄を捜す事と敵対する者を斬る
事にしか興味は無いのか? |
いずれにしてもやっかい事には違いあるまい・・・。 |